ひじおりの灯2021

「危ないからこうしとこう」
大久保雅基 | オオクボ モトキ

肘折ではいたるところで自然災害による破壊や風化の跡が見られ、仮設的に修復された風景がある。本灯籠はそのような状態をイメージして作られた。和紙に描かれた線は、銅山川沿いの傾斜に取り付けられた排水パイプが描く水の軌跡を表現している。湯花が絵具に使用され、重力を使って描かれた。和紙はある面が破られ不完全な状態になっており、そこを「立入禁止」のテープが塞いでいる。これは肘折ダムから地蔵倉へ向かう道にあるお地蔵さんに取り付けられていたテープと同じものである。立入禁止を知らせる役目は終わり、お地蔵さんの衣装のようになっている。この灯籠においても立入禁止の意味は持たないが、仮設的な装いとして機能している。
 
灯籠から流れる音は肘折で採取した水の音を加工したものである。周波数領域で見て、ある一定の範囲の音量のみに当てはまる周波数の音を抜き出した音である。これは仮設的である不完全な水の音を表している。デジタルな響きであるが水のリズムを感じさせる。

制作者プロフィール

1988年宮城県仙台市出身。プログラミングや音響機器等のテクノロジーによって音楽体験を拡張する作曲家。コンサート・オーガナイザー、サウンドエンジニア、プログラマとしても活動。tone運営。名古屋芸術大学芸術学科芸術学部デザイン領域、愛知淑徳大学人間情報学部、相愛大学非常勤講師。洗足学園音楽大学音楽・音響デザインコースを成績優秀者として卒業。情報科学芸術大学院大学メディア表現研究科修士課程修了。先端芸術音楽創作学会、日本電子音楽協会、日本AI音楽学会会員。
 Contemporary Computer Music ConcertにてACSM116賞(2010/東京)、Wired Creative Hack Award 2019にてSony特別賞を受賞。塩竈市杉村惇美術館若手アーティスト支援プログラムVoyage 2021に採択された。Musica Viva Festival 2010 “Sound Walk”、同2013 ”Close, Closer”、千代田芸術祭2014 音部門LIFE LIKE LIVE、Muestra Internacional de M?sica Electroac?stica 2015、横浜スマートイルミネーションアワード 2014、ACOUSTIC FOR THE PEOPLE III “RAW”、21st International Symposium on Electric Arts (ISEA 2015)、Festival Atempor?nea 2020に入選。Contemporary Computer Music Concert 2010, 2013-2019、Festival Futura 2010、関西・アクースマティック・アート・フェスティバル 2011, 2012, 2013、富士電子音響芸術祭 2013, 2014、サラマンカホール電子音響音楽祭(2015)等で作品が上演されている。
 


【ウェブサイト
https://motokiohkubo.net/