ひじおりの灯2021

「験がある植物」
𠮷田 勝信 | ヨシダ カツノブ

灯籠絵制作のためのフィールドワークを僕は毎年楽しみにしています。
肘折の湯につかることはもちろん、長い冬を終えた肘折で、ワカエと呼ばれるハルシメジやヒラタケ、ウスヒラタケなどを採集するよろこびは特別なものです。
(ワカエ … 肘折では春に生える銀色のキノコ全般をこう呼んでいるようです。)
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今回、僕の灯篭絵は、この春のフィールドワークで案内してもらった場所や暦まつわる植物など、肘折の文化と一体になっているものをモチーフにし、特殊な印刷技術を用いて表現しました。
肘折に伝わる「力」を持つといわれる植物や、フィールドワークで訪れた各所の力がありそうな植物と、それらに伝わる/着想を得た物語とを共に印刷することを試みています。
たとえば「マツ」は、縁結びのご利益があると伝わる地蔵倉の手間にある「ハラミマツ」から着想を得たものです。松の腹をさすることによって赤子ができる、子孫繁栄のご利益があるのではないかと考え選定しました。また、「コナラ」は、女岩に根を張り枝を伸ばすその生命力に満ちたようすから、何かしらのご利益が宿る可能性があるのではないかと思い選んだものです。「ゼンマイ」は、男岩に食らいつきながら繁茂するゼンマイの姿に多産の象徴を重ねました。
「マツ」「コナラ」「ゼンマイ」
「ヨモギ」「シオデ」「ショウブ」「ウド」「アケビ」
これらの植物は、採集した実際の植物そのままを原版にして印刷しています。版に圧力をかけることで植物の姿を写しとる印刷方法なので、とても根気のいる作業です。どんなふうに植物を配置したら灯篭として美しいか、植物の美しさが伝わるか…。試行錯誤しながら作業を進めていきました。
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女岩、岩割る不可思議小楢(コナラ)の並び紋

男岩、生え出るぜんまい、乱れ紋

地蔵倉の孕松(ハラミマツ)、枝葉を賜り散し紋

地蔵倉、祭りに食べてはいけないものがある
昔々、お薬師さんが木通蔓(アケビヅル)でつんのめって独活(ウド)で目を突いた

端午の節句
蓬(ヨモギ)と牛尾菜(シオデ)を耳にあて
"もどがら裏まで、いいごど聞け" と一家総出で唱えるべし

端午の節句
蓬(ヨモギ)と菖蒲(ショウブ)が香を放って魔を除ける
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肘折名所の男岩、女岩、地蔵倉…、 四季折々の風景が美しい場所です。
ぜひ散策に出かけてみてはいかがでしょうか。

制作者プロフィール

 
東京都生まれ。山形県を拠点に採集、デザイン、特殊印刷を行っている。名前の「吉」は土に口。


【ウェブサイト
https://www.ysdktnb.com/