ひじおりの灯2022

「もつもつ降る冬、ごうごう流れゆく春」
是恒 さくら | コレツネ サクラ

じんわり沁みる温泉も、時季によって色を変える銅山川の水も、大きく美味しい山菜も、この土地の深い雪が育んでいる。真冬の肘折を訪れた時とても印象的だったのが「雪下ろし」でした。降り続ける雪は屋根の上に留まり高さを増していくため、冬の間に何度か「雪下ろし隊」に頼んで雪を下ろしてもらうそうです。子どもの頃に楽しく雪で遊んでいた冬の日々も、大人になって雪かきをするようになると雪が嫌になるという話。雪の降り始めの頃と春の雪解けの頃にだけ山に現れる昔の道の話。山の残雪の形で春の訪れを知る話。肘折で聞く話は、いつも雪の上にあるようです。もつもつ雪に覆われる冬から、ごうごう流れる春に向かう肘折を描きました。

制作者プロフィール

広島県呉市(旧・安芸郡)音戸町生まれ。2010年アラスカ大学フェアバンクス校リベラル・アーツ・カレッジ美術学科卒業。在学中はネイティブ・アート、絵画、彫刻を学ぶ。2017年東北芸術工科大学大学院修士課程修了。国内外各地の土地を訪れ、人と鯨類の関わりを探りながら、リトルプレスや刺繍、造形作品として発表する。リトルプレス『ありふれたくじら』主宰。最近の展示に「開館20周年展 ナラティブの修復」(せんだいメディアテーク、2021)、「VOCA展2022」(上野の森美術館)など。
  


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