ひじおりの灯2019

「冬のお面」
𠮷田 勝信 | よしだ かつのぶ

聞いた話だけど肘折の冬は凄いそうだ。コンコンコンコン、雪、雪、雪。家や道路、木や山。山菜や動物たちも消えてなくなり、生きる糧が全て隠れてしまう。目の前の風景は停止した死の季節に感じるけれど、雪の下では植物達がジワジワとエネルギーを増殖させ、春に爆発させる為に蓄えている。冬は生が入れ替わる、長い再生の季節、物忌みの季節だ。僕は肘折から見た時にちょうど葉山の裏っかわに住んでいる。最寄りの温泉では、夏の雨がどうだから雪がどうだという話が出始めた。きっと、あのお爺さんはこの展示が終わる頃には冬へ向けて仕度を始めているだろうか。山形の人は夏には冬の事を思って生きているようだ。今年は、それを真似してみた。

制作者プロフィール

1987年東京都新宿区生まれ。
幼少期は奄美大島で育つ。
2006年東北芸術工科大学美術史・文化財保存修復学科に入学、在学中より市場ではじかれる野菜を流通させる八百屋を企画運営、その延長で飲食店を開店し、中退。現在は山形県を拠点にデザイン業を営む。家業である染織工房をはじめ、様々な領域でコンセプトメイキングとそのビジュアライズを行なっている。グラフィックデザインの他に装飾品の制作販売、日用品やテキスタイルの制作やシェアオフィスを運営している。


【ウェブサイト
https://www.ysdktnb.com/