私は肘折温泉に浸かった後、地蔵倉に向かうためブナの若葉たちが生茂る森に入った。
道中ふと空を見上げた時、ブナの葉っぱたちが空を遮り、風にゆられ日光を浴びている様が目に入った。その情景をみた時、日光浴をしながら呼吸するブナ林のお腹の中にいるような心地になり、ひどく安心したのを覚えている。
自然という漠然とした大きな存在が、その時は隣の家に住んでる隣人のような距離を感じた。日の光を大きく食べるように、私もブナ林のお腹の中にお邪魔させてもらったのだ。
肘折の大きくもあり、小さくもあるブナ林のお腹に入り、来年もまた日光を共に浴びに行こうと思う。
【消灯】
【点灯】
【音声解説】
制作者プロフィール
1994年、宮城県生まれ。
東北芸術工科大学大学院芸術総合領域修士課程修了。
大学院を修了後、山形を拠点に活動を行う。山形ビエンナーレ2020 "まちとひと"にてLiveで参加。2015年シェル美術大賞展保坂健二朗賞受賞、ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2019 加藤泉賞受賞。2018年個展「dope man」を山形で開催。2017年 佐藤国際文化育英財団 第27期奨学生、2018年 クマ財団2期生。
【ウェブサイト】
shibuyanana.com