肘折温泉には無数の温泉用の配管が駆け巡っています。私たちが何気なく歩いている道の隅っこに、建物の外壁に、時には目では見えない地面の下に。その中には今は使われていない配管も共に混在していて、肘折の住民と客人たちを見守るように静かに眠っています。
肘折温泉の住民から聞くところによると、正確には配管がどのようになっているのか分からない物もあるのだとか。源泉を運ぶ配管は人間の体で言うところの血管と言われる箇所に近いようで、その不規則な状(さま)は人の手の名残として存在しています。
無数に伸びた配管は地を這い、里の地中を辿り、今日も私たち客人を迎えてくれるだろう。
【消灯】
【点灯】
【音声解説】
制作者プロフィール
1994年、宮城県生まれ。
東北芸術工科大学大学院芸術総合領域修士課程修了。
大学院を修了後、山形を拠点に活動を行う。山形ビエンナーレ2020 "まちとひと"にてLiveで参加。2015年シェル美術大賞展保坂健二朗賞受賞、ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2019 加藤泉賞受賞。2018年個展「dope man」を山形で開催。2017年 佐藤国際文化育英財団 第27期奨学生、2018年 クマ財団2期生。
【ウェブサイト】
https://shibuyanana.com