初めての肘折で鉱石を拾ってはしゃいでいた。
地元の方や子供達に見せびらかした。反応は少し薄かった。
翌年、翌々年、肘折周辺の子供達の間で石拾いや石割りが少し流行っていた。今年の取材でも鉱石を拾いに河原へいくと割られた石をちらほら見つけた。
なんだか自分勝手に人と人の縁を感じた。
自然と人と人の縁を、自身の中の円の形として肘折で心惹かれたモチーフと共に表現した。
今回モチーフにした地蔵倉の本殿の落書きと錆びた壁。その真横に広がる凝灰岩の岩壁と縁結びの願いが込められた無数の小銭。そして肘折の緑。
人の願いと業が剥き出しになり、風化して時間の経過と共に人の気配となっていく。それらが肘折の自然、木々や水の流れ、地層や山々がもっている圧倒的な存在感や時間と溶けて一体となり肘折を包んでいるような、そんな気がした。
解説文で書いたような自身が感じた人と人との縁が
想像もつかないようなスケールで自然と時間と人との間にもあるように感じた。灯籠の和紙の表裏と八角形のつながりを意識して表現した。
【消灯】
【点灯】
【音声解説】
制作者プロフィール
1995年
宮城県生まれ
2015年
第26回飛騨高山臥龍桜日本画大賞展 入選
2017年
第80回河北美術展 日本画の部 入選
第3回石本正日本画大賞展 入選
2018年
第81回河北美術展 河北賞 受賞
第44回春季創画展 入選
2019年
第7回悠々貫久展 参加
第1回SEIBUN ART Exhibition 参加
山形市作品買い上げ 山形市役所 蔵
東北芸術工科大学 修士課程日本画 修了
平成跡地展
2022
第16回ひじおりの灯 参加
第17回ひじおりの灯 参加
【ウェブサイト】
https://instagram.com/kutibiruman7