ひじおりの灯2018

ひじおり朝の歌
伊藤 眸 | いとう ひとみ

肘折を訪れる度、私は朝に生まれ直しているような気がする。夕方ころ到着して、少し散歩をして、季節のご飯を食べて、温泉に入って寝て起きるといつも体はすっかりと軽くなってしまっている。
今回はまだ薄暗いうちに布団を出た。カルデラ状の地形は遠くの空は明るくてもあたりは薄青い時間が長く、空気はツンと冷たくて、私は一人穴の中で外の光がここまで届くのをじっと待っている。
歌人で人形作家の鹿児島寿蔵さんが肘折に訪れた際に詠んだ短歌で、
「銅山川 へだてて青き 大地より 郭公ひびく、梅雨のあさあけ」
という歌を帰ってから知りました。
私がみた朝の様子と重なるようで、私も歌のような絵が描けたらと思い制作しました。

 
制作者プロフィール

東北芸術工科大学 建築環境デザイン学科卒業。東京都在住。
現在はイラストレーターとして活動中。