ひじおりの灯2018

「ミズの旬、くじら来たる初夏」
是恒さくら | これつね さくら

X

肘折温泉の夏の郷土料理「鯨汁」を今年、はじめて味わった。味噌仕立ての汁に鯨の皮と脂肪を塩漬けにした「鯨塩皮」、山菜のミズ、じゃがいも、にんじん、玉ねぎなどが入る。鯨塩皮は宮城県牡鹿半島の捕鯨の町・鮎川浜で加工されたものが多い。山々を超えて運ばれた鯨塩皮は、冷蔵庫の無い時代の貴重な栄養源だった。今でも鯨汁はお年寄りに好まれるという。ただし、肘折温泉では「みず汁」と呼ぶ。山菜のミズが採れる初夏に作る料理だから、だそう。とれたてのミズをたっぷり、もぎって(手でちぎって)汁に入れる。鯨の長旅に思いを馳せていたけれど、ここでは山菜の方が主役だったのだと気づいた。海の幸と山の幸、出会って生まれる夏の味。

制作者プロフィール

1986年 広島県呉市生まれ
2010年 米国アラスカ州立大学フェアバンクス校 卒業 (Bachelor of Fine Arts: Painting)
2017年 東北芸術工科大学大学院デザイン工学専攻地域デザイン研究領域 修了
 
[主な展示・受賞・活動歴]
2010年 "Vanishing Points”  (個展|アラスカ州立大学フェアバンクス校)
2013年 「京都府美術工芸新鋭展 2013京都美術ビエンナーレ」入選(グループ展|京都文化博物館)
「つみくさ」(個展|広島県広島市・広島芸術センター)
2015年 第4回 都美セレクショングループ展「東北画は可能か?―地方之国構想博物館―」(グループ展|東京都美術館)
2016年 〈滞在研究〉「米国研究助成プログラム(一般社団法人日米協会)」(アラスカ州ポイント・ホープ)
2017年 「 沖語り - オキガタリ -」(個展|東京都千代田区・Open Letter)
「東北画は可能か? ~地方之国構想博物館~」(グループ展|山形県鶴岡市・鶴岡アートフォーラム)
「新・今日の作家展2017?キオクのかたち/キロクのかたち」(グループ展|横浜市民ギャラリー)
2018年 「story whaling」(個展|広島県広島市・横川創苑)
 「N.E.blood 21 Vol.67 是恒さくら展」(個展|宮城県気仙沼市・リアス・アーク美術館)