鍰(カラミ)とは、鉱石を溶かし精錬する際に生じるかなくそが堆積したものである。かつて金や銅の採鉱が行われていた肘折には、今も鍰の山が残され、その表面はにぶい鉛色だが、よく見ると一部が釉薬のように光沢を帯びている。
鉱山跡で採集した鍰石を、街を流れる銅山川に浸し表面を接写した。溶解の痕跡と虹色の光彩は、水と太陽の反射が重なり、かつて肘折の地に眠っていた無数の輝きを想起させる。
銅山川の笹濁りの色は、雪解け水に混ざる緑碧岩の色が影響している。富と繁栄の残留物としての鍰も、やがて風雨と川の流れに削られ、命を育む大地へと還元されていく。写真の瞬間を紡ぐ灯篭の燈によって、悠久なる自然の循環を表そうと試みた。
1982 秋田県角館町生まれ
2007 東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科修了
2017 - 秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科助手
受賞歴
2012 ペンタクスリコーイメージング主催「ペンタクスリコーフォトコンテスト」準特選
2010 Canon 主催「2010 年度写真新世紀」佳作賞(蜷川実花選)
2007 コニカミノルタ主催「フォト・プレミオ」入賞
2005 第33 回日本広告写真家協会(APA)公募展文部科学大臣賞
活動略歴
2019 仙北市立角館平福記念美術館企画 草彅裕写真展「流転の水系」平福記念美術館(秋田)
2018 キヤノン公募展 草彅裕写真展「ACID WATER -流転の水系-」キヤノンギャラリー(銀座、大阪、名古屋)
秋田県立美術館企画展「夜と美術」秋田県立美術館(秋田)
仙北市立角館樺細工伝承館企画展「水と火」仙北市立角館樺細工伝承館(秋田)
2017 Canon 主催「SHINES」ファイナリスト選出
富士ゼロックス広報誌『グラフィケーション』表紙起用
KAMIプロ・リスタ実行委員会「かみこあにプロジェクト2017」出品(秋田)
ひじおりの灯実行委員会主催「ひじおりの灯2017」新作出品作家(山形)
草彅裕写真展「火と水」あきたふるさと村工芸展示館(秋田)
2016 秋田の雪夜を7年間撮り続けた写真集「SNOW」(FOIL出版)刊行
『美術手帳1046号』「あなたの知らないニューカマーアーティスト100」選出
コニカミノルタ公募展 草彅裕写真展「SNOW」 コニカミノルタプラザ(新宿)
2014 in between.ShaShin Book Award 2014 ベストセレクション選出
KYOTOGRAPHIE 国際写真フェスティバル「ネイチャー・イン・トーキョー」に
日本の現代写真家13 人として選出 有斐斎弘道館(京都)
2012 ペンタクスリコーイメージング主催「ペンタクスリコーフォトコンテスト展」
リコーイメージングスクエア(新宿)
2010 Canon 主催「2010 年度写真新世紀展」 東京都写真美術館(恵比寿)
2007 コニカミノルタ主催「フォト・プレミオ」草彅裕個展「arkh?~水と太陽~」コニカミノルタプラザ(新宿)
2004 第33 回日本広告写真家協会(APA)公募展 東京都写真美術館(恵比寿)
他、個展、グループ展等多数
【ウェブサイト】
http://yu-kusanagi.com/