肘折温泉の神秘的な開湯伝説については知られている所ですが、別の云われを取り上げました。両肘を折って憔悴した老人と出会った修験者は、「色赤く形まろく味ひ甘露のごと志」食べ物を渡します。すると、老人は「精神(こころ)にわかに快く忽ちに疲れを忘れたり」という心地に。聞いた所によると、土産物屋のほていやさんの名物「ほていまんじゅう」はこのお話を元にしたものなのだとか。食で心を癒した老人は今度は湯に入ります。その湯の素晴らしさは「寿(いのち)」と表現されています。人と出逢い、食で癒され、活力を生み出す湯に浸かる。その喜びは伝説の距離を超え、肘折を訪れてきたすべての人が共有できるものだろうと思います。
制作者プロフィール
2018 広島市立大学芸術学部美術学科日本画専攻 卒業
2020 秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科 修了