本燈籠は画材を塗るのではなく光を当てる手法により絵を描く。灯籠の内部には水が設置されており、肘折で録音された音の振動によって揺らされ波紋を描く。録画された肘折の映像から色の情報が抜き出され、その色は照明となり水を介して和紙に投影される。
肘折は水が中心となって風土が形成されている。銅山川が街の中心を流れ、温泉が分配されるパイプ、下水なども水が流れ、肘折に居ると様々な種類の水の音が四方八方から聞こえてくる。水は地熱に湧かされ、地表を流れ、水蒸気となり、雨となり大地へと帰る。観光客がその循環に介入した記憶を誰かに伝えるように、作者の個人的な映像記録は水を通して語られる。
1988年宮城県仙台市出身。電子音響音楽、コンピュータ音楽、室内楽、インスタレーション、映像等、多岐に渡る表現手法で、テクノロジーによって音楽を拡張する。名古屋芸術大学芸術学科芸術学部デザイン領域、愛知淑徳大学人間情報学部非常勤講師。洗足学園音楽大学 音楽・音響デザインコースを成績優秀者として卒業。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科 修士課程修了。先端芸術音楽創作学会、日本電子音楽協会、日本AI音楽学会会員。
Contemporary Computer Music Concert 2010(東京)にてACSM116賞、Wired Creative Hack Award 2019(東京)にてSony特別賞を受賞。Musica Viva Festival 2010 “Sound Walk”(ポルトガル)、同2013 ”Close, Closer”、千代田芸術祭2014 音部門LIFE LIKE LIVE(東京)、Muestra Internacional de Musica Electroacustica 2015(メキシコ)、横浜スマートイルミネーションアワード 2014(神奈川)、ACOUSTIC FOR THE PEOPLE III “RAW”(スウェーデン)、21st International Symposium on Electric Arts (ISEA 2015/カナダ)、Atemporanea Festival 2020(Covidの影響で2021に延期/アルゼンチン)に入選。
【ウェブサイト】
https://motokiohkubo.net/