ひじおりの灯2020

「柿崎さんちのゆずちゃん」
佐野美里 | さの みさと

 肘折温泉街で暮らす柴犬のゆずを描きました。
 ゆずの散歩時間は決まっておらず、行きたくなった時にお家の人に頼んで外に出してもらいます。トイレをしたり散歩をしたり、気分が良い時は橋の上でまどろむことも。私は取材を通して、ゆずが家族と過ごす日常の肘折を知りました。お客様のおもてなしをする家族を側で見守るゆず。換毛期、川風で転がる体毛。お気に入りの場所でくつろぐゆず。撫でてもらう時の愛おしそうな表情。おやつの採れたてキュウリの味。夏の虫と追いかけっこ。ゆずは終始穏やかで優雅で、ここが素敵な場所だと教えてくれるように感じました。ゆずの視点で流れる営みをさらさらと流れる水のように夢心地に描きました。

制作者プロフィール

 1987年生まれ。彫刻家。
 東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科専攻彫刻領域修了。
 人と関わることで変化していく自分自身や、敬愛する人の肖像を犬の姿で表現している。
 現在、宮城県町島町在住。
 


【ウェブサイト
http://sanomisato.com/