肘折へ向かうまでの道中に途方もなく長いコンクリートの壁と出会った。その壁は道路と山の境界線のような位置に立っていた。
私はその壁に残っていた大小様々な無数の傷痕に惹かれていた。
その傷痕は除雪機によって除雪をする際につけられた傷だという。肘折に冬が訪れると沢山の雪が降り、この傷は冬が来るたびに増えていく。
私が出会ったのはなんの変哲もないコンクリートの壁だったが、壁は傷痕とともに肘折でまた新たな生活が始まっているという時間の流れを含蓄していた。また今年も冬が訪れれば肘折は雪に覆われる。そしてまた道が開かれていく。
制作者プロフィール
1994年、宮城県生まれ。東北芸術工科大学大学院芸術総合領域修士課程修了。大学院を修了後、山形を拠点に活動を行う。山形ビエンナーレ2020 "まちとひと"にてLiveで参加。2015年シェル美術大賞展保坂健二朗賞受賞、ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2019 加藤泉賞受賞。2018年個展「dope man」を山形で開催。2017年 佐藤国際文化育英財団 第27期奨学生、2018年 クマ財団2期生。
【ウェブサイト】
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